2004年07月26日22時44分33秒
『竜宮』 [ 5秒で読もうと思えばできなくもないもの ]
よくここまで来た、きみを歓迎しよう。私はきみが来る今日という日をどれだけ待ち焦がれたことか。さあ、そのテーブルに座りたまえ、心ばかりのもてなしをさせておくれ。まあ、なにもないが魚ばかりはやたらとある。なにしろ海の底だからな。うん、いま召使の女が運んできてきみの目の前に置いたのは、どれもこのあたりの海特産の魚さ。右端の細長い魚はマダラサンマ、焼いてポン酢醤油で食うと大層美味いが、一口で悶死するほどの毒がある。真ん中の平べったいヤツは、カッターカレイ。ムニエルにすると美味いが、これも毒がある。左端の太っちょはゾロメダイ。串をうって塩焼きにすると格別なんだが、うん、これも毒があるな。さあ、どれをどのように煮ようかね? どれも煮たらたいして美味くないが、煮れば毒が消えてなんとか食えるんだよ。なに? いらない? そうかい。まあ、でもここじゃ煮魚しか食えないから慣れないとな。私もこの玉座に座って三百年、この不味い煮魚どもを食い続けてきたが、なあに、しまいには慣れるもんさ。さあ、そろそろ交代しようか。私がこの玉座を離れ、きみが座れば海の王の交代だ。なに、いやだ? そういうわけにはいかない。三百年ごとに誰かと交代する決まりになっているし、王の存在は不可欠だ。きみは浜の村で選ばれてきたんだろう。供物? 言葉はなんでもいいさ、きみはここでは王だし、要にあたるんだ。ちょっと魚が不味いのと、召使の女どもが白く濁った目をしていて口をパクパクさせるだけでものを喋らないのが気に入らないくらいさ。さあ、はやく変わってくれ。私はひさしぶりに浜で焼き魚が食いたいんだ。
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三語一行「にに んし ょう」追加「二人称で書くこと」
二人称ではない……^^;

